知的障害とは何か

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子育て

うちの子3歳すぎても喋らない。

周りの友達と比べて勉強についていけていない。

記憶や計画、感情のコントロールがうまくできない。

知的障害で困難さを抱えている方は少なくありません。今回は、知的障害とは何か、知的障害の診断方法、知的障害の特徴や原因について解説していきます。

知的障害とは

知的障害とは、知的機能の発達の遅れ、社会性など適応機能の遅れ、18歳未満の発症という3つの条件がそろったときに診断される総称的な障害です。

しかし、発達障害者支援法における発達障害には、知的障害が含まれてないとされています。ですが、臨床的には知的障害も発達の遅れである発達障害の1つであり、発達障害者支援法で発達障害とされている「広汎性発達障害」には、知的障害の範疇にある人も多くいます。

また、全般的な知的発達の遅れはないが部分的な認知の発達の遅れがある場合を「学習障害」と定義していたり、全判的な知的発達の遅れではなく行動面に支援が必要性がある「ADHD」や社会性に支援が必要性がある「自閉スペクトラム症」などと診断されてることもあります。

中には、適切な支援を受けることができず、発達全体が遅滞した場合には、高学年なり知的障害があると診断を受ける場合もあります。つまり、知的障害とその他の発達障害においては、明確な線引ができているわけではありません。

知的障害の他に、自閉スペクトラム症やADHDについても知りたい方はこちらの記事をお読みください。

知的障害の診断法

DSM-5おけるIntellectual Disability(Intellectual Developmental Disorder)は、知的能力障害(知的発達症、知的発達障害)と訳されており、その定義は、「発達期に発症し、概念的、社会的および実用的な領域における知的機能と適応能力両面の欠陥を含む障害である」とされています。

したがって、知能検査の数値だけではなく、社会性などの適応機能の困難さを同時に満たした場合に、知的障害と診断されます。

しかし、現在、適応機能の発達を測る標準化された検査は多くはなく、ほとんどの場合が中田ビネー検査、WISC-Ⅳなどの知能検査、K4式発達検査などの知能指数・発達指数で知的障害が診断されています。

知的能力障害(知的発達障害/知的発達障害)の診断基準

知的能力障害(知的発達障害)は、発達期に発症し、概念的、社会的及び実用的な領域における知的機能と適応機能両面の欠陥を含む障害である。
以下の3つの基準をみたさなければならない。

A.臨床的評価および個別化、標準化された知能検査によって確かめられる、理論的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、学校での学習、および経験からの学習など、知的機能の欠陥

B.個人の自立や社会的責任において発達的および社会文化的な水準を満たすことができなくなるという適応機能の欠陥。
継続的な支援がなければ、適応上の欠陥は、課程、学校、職場、および地域社会といった多岐にわたる環境において、コミュニケーション、社会参加、および自立した生活といった複数の日常生活活動における機能を限定する。

C.知的および適応の欠陥は、発達期の間に発症する。

出典:日本精神経学会(日本語版用語監修)、髙橋三郎・大野祐(監訳):DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアルP58-P59、医学書院、2014
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知的障害の特徴

知的障害の程度にもよりますが、以下の特徴が見られます。

●学習技能を身につけることが難しい
学齢期の子どもや成人では、年齢相応に期待される読字・書字・算数などの学習技能の習得が難しく、支援が必要な場合が多くあります。
ただし、困難が読み書き算数などに限定される場合、学習障害の可能性もあります。

●柔軟に考え、物事に対処することが難しい
抽象的思考や実行機能、短期記憶の苦手さにより、計画を立てたり、優先順位をつけることが難しく、問題の解決に固定化された方法でしか対処できないことがあります。

●コミュニケーションが難しい
言語的なコミュニケーションが難しかったり、仲間の意図を正確に理解することが難しい場合があります。
コミュニケーション面で特定的に困難な場合には、コミュニケーション障害や自閉症スペクトラム障害の可能性もあります。

●行動のコントロールが難しい
年齢に応じた方法で気持ちや自分の行動をコントロールすることが難しく、未熟であるように見られる場合があります。
衝動のコントロール面特定的に困難な場合には、ADHDなどの可能性もあります。

●食事や身支度など、身の回りのことの自立に時間がかかる
同年代と比べて、複雑な日常生活上の課題には支援が必要であったり、自立するには長期的な支援が必要である場合があります。

知的障害の大きな特徴は知的発達が遅れていることです。なので、抽象的な指示ではなく、具体的でわかりやすい指示や教示などで子どもにとってイメージしやすいことであれば、理解することができます。

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知的障害の原因

知的障害の要因は大きく3つに大別することができます。

1つ目は特に基礎疾患が見られないケースで、突発的要因や、生理的要因と呼ばれます。

2つ目は先天的な要因(出生前に生じる要因)で、先天性の代謝異常(フェニルケトン尿症など)や出産前後の感染症、中毒や染色体異常(ダウン症など)といった出産前に生じる先天性の異常が原因になる場合です。

先天性の代謝異常の場合には、新生児の時期のスクリーニング検査により早期発見が可能であり、その場合には、投薬(先天性甲状腺機能低下症など)や食事療法(フェニルケトン尿症など)による治療が可能な場合もあります。

3つ目は、後天的な要因(出生後に生じる要因)で、外傷性の脳挫傷やけいれん性疾患、感染症などが挙げられます。

また、日本脳炎や結核性髄膜炎、ポリオ、麻疹、百日咳などに感染し重篤化して脳炎になると知的障害を引き起こす場合があります。これらは、予防接種により感染の危険を減らすことができます。

乳幼児期に栄養不足だったり、不適切な養育環境に置かれることで脳の発達が遅れることもあります。

知的障害は遺伝する?

「知的障害が遺伝するのか」については、知的障害の原因はさまざまですので、遺伝を原因としない場合もあります。まれに脆弱X症候群などの単一遺伝疾患など、原因となる遺伝子が親から子に伝わることで知的障害が発症する場合もあります。

ただ、親が知的障害の素因を持っていたとしても、それが必ず遺伝するわけではありませんし、遺伝しても必ず発現するとも限りません。つまり親が知的障害だからといって必ず子どもが知的障害になるわけではないのです。

また、遺伝子の変異は誰にでも起こりうるものですし、遺伝性疾患のほとんどは正常な遺伝子や染色体が突然変異を起こすことによります。

まとめ

今回は、 知的障害とは何か、知的障害の診断方法、知的障害の特徴や原因について解説していきました。知的障害では、年齢や障害の程度に関わらず、子供達の願いや思いを中心に置き、本人の幸せの実現をサポートしていくことが大切です。

発達障害の方は抽象的な理解が難しく、経験した内容から理解することのほうが得意です。なので、生活に密着した内容や経験したことから学びのサポートをしていくと理解することができたり、安心して生活することができたりします。

できるだけたくさんの方に知的障害や発達障害について興味をもっていただき、理解してもらえると幸いです。

発達障害について知りたい方はこちらの記事も合わせてお読みください。

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