前回、子どもの注意欠陥多動性障害(ADHD)とは何か、注意欠陥多動性障害(ADHD)の診断基準、注意欠陥多動性障害(ADHD)の原因について解説していきました。
今回は、注意欠陥多動性障害(ADHD)の特徴である「不注意」「多動性」「衝動性」の特徴についてそれぞれ解説していきます。
注意欠陥多動性障害(ADHD)の特徴①不注意
注意欠陥多動性障害(ADHD)には以下の不注意が見られることがあります。
●不注意な間違い 例えば「フリガナ」と書いてあるところで、ひらがなで振りがなを振ってしまったり、ちょっとした問題を読み間違えたことによるケアレスミスが多かったりします。 ●集中の困難 例えば、算数・国語・英語の時間など、自分が苦手だったり授業の内容を理解していない場合、集中して授業を受け続けることが困難なため、外を見てしまったり、手遊びをして しまったりするなど、集中していない様子を見ることがあります。 ●話を聞いていない様子 話しかけられたのに、全然話を聞いていない様子を見せたり、生返事をついついしてしまったりすることがあります。 ●やり遂げられないことがある 学校の課題や職場でのタスクを計画通りに進めることができず、夜遅くまでかかったり、途中で投げ出してしまったりします。 ●課題の順序立てが困難である 優先順位をつけて順番に処理することが苦手で、最初に好きなこと(例えばゲームや漫画 を読むこと)をやってしまうと、宿題などをあとからやることができなかったりします。 ●かんばらなければいけないことを避ける 宿題や家のお手伝い、掃除などをサボってしまったり、いやいや行ったりします。 ●課題や活動に必要なものをなくしてしまう 宿題や鉛筆、消しゴムなどをすぐになくすことがあります。
誰にでも当てはまるような気がします。しかし、注意欠陥多動性障害(ADHD)と診断されるのは、挙げたような特徴がほとんど当てはまり、さらにそれが6ヶ月以上持続し、学校や職場と、家庭内でも見られる場合になります。
学校では集中できるのに、家では甘えてしまっている場合や、家ではしっかりできるのに、学校では緊張のためにできないなどの場合は、中枢神経系の機能障害を原因とする注意欠陥多動性障害(ADHD)ではなく、他の原因があることがあります。
注意欠陥多動性障害(ADHD)の特徴②多動性
注意欠陥多動性障害(ADHD)には以下の多動性が見られることがあります。
●手足をそわそわと動かしたり、椅子の上でももじもじする 多動性の特徴の1つとして、手足を動かさずに先生の話を聞けなかったり、椅子に大人しく座れなかったりすることがあります。 ●よく席を離れる 45分の授業の間で、何度も席を立つことがあります。これは、思いついた行動をすぐとってしまうためだったり、授業の内容が分からなかったり、周りの環境が落ち着かないときに見られます。 ●適切な場面でじっとしていない 静かにしないといけない状況を理解できずに、衝動にかられて走り回ったり、高いところへ登ろうとしたりします。青年期や成人期では、衝動にかられて動くことはあまり見られませんが、落ち着きのない様子が見られます。 ●静かに遊んだり、余暇活動につくことが苦手 戦いごっこなどのダイナミックな遊びの方が好きで、お人形遊びやトランプ、読書などをすることが苦手だったりします。 ●一方的にしゃべることがある 一方的にしゃべってしまったり、思いついたことをすぐにしゃべってしまったりすることがあります。また、「アホ」「バカ」といった汚言を吐いてしまうことがあります。 思いついたことをすぐに行動に移してしまうのが注意欠陥多動性障害(ADHD)の特徴があります。
「ADHDだから多動性」ではなく、場面に合った落ち着いた行動をすることを学習していないと考えれば、その落ち着いて行動を指導目標にすればよいといいと思います。
例えば、電車やバスの中で走り回らないことを教えるのではなく、電車やバスの中でゲームをしたり、本を読んだり、頭の中で予定を立てるなど、大人しく過ごせるスキルの獲得を目指せば、結果的に電車やバスの中で走り回る行動は減少します。
集中できる趣味や遊びを広げていくことが重要です。
注意欠陥多動性障害(ADHD)の特徴③衝動性
注意欠陥多動性障害(ADHD)には以下の衝動性が見られることがあります。
●質問が終わる前に出し抜けて答え始めてしまう 授業中において先生が質問を終える前に「はい!はい!」と手を挙げて答えようとしてしまうことがあります。 ●順番を待つことが苦手 順番という目に見えないルールが分からないことがあります。 ●他人の邪魔をしてしまうことがある しばしば他人を妨害し、邪魔をしてしまうことも衝動性の特徴として挙げられます。例えば、他人同士の会話に割り込んでその会話を中断させてしまったり、ゲームや遊びの邪魔をしてしまったりすることなどです。 また、その際に「アホ、バカ」などの汚い言葉を発してしまうこともあります。
大人でも、自分がイメージしていたことと異なったことが起きれば不安になったり、怒りを感じたりします。
しかし、大人の場合は、様々な経験の結果、ストレスをなくすだけではなく、うまく対処することを学習している場合が多く、上手にこなすことができます。
したがって、子ども達においてもイメージを広げる学習やピンチの場面をうまく対処する方法を学習しておくことが大事になってきます。
まとめ
今回は、注意欠陥多動性障害(ADHD)の特徴である「不注意」「多動性」「衝動性」の特徴についてそれぞれ解説していきました。
注意欠陥多動性障害(ADHD)の特徴である「不注意」「多動性」「衝動性」に困難さを感じている方は多くいます。
子ども達に適切な支援やサポート、発達段階に応じた学習によって少しでも困難さを減少させたり、克服することができます。
少しでもたくさんの方に注意欠陥多動性障害(ADHD)のことを理解していただけたら幸いです。
他にも発達障害についてまとめた記事があるのでこちらも合わせてお読みください。